鴨肉は洋の東西を問わず、有史以前から食べられてきた食材です。日本ではそばの鴨南蛮や金沢の郷土料理、治部煮などで昔から親しまれてきました。
〜鴨肉の栄養成分〜
鴨肉には良質なタンパク質が多く含まれているほか、ビタミンB群、鉄、亜鉛などビタミンミネラルが含まれています。注目は鉄とビタミンB12。
〜貧血予防に鴨肉〜
鉄は赤血球の中のヘモグロビンの構成成分で、ヘモグロビンが酸素と結びついて全身に酸素を供給します。鉄が不足すると、めまいや倦怠感などの貧血症状が起こります。(鉄欠乏性貧血)
ビタミンB12は主に葉酸と協力して正常な赤血球をつくる働きがあります。ビタミンB12が不足すると赤血球自体が不足し、身体に酸素がうまく運ばれなくなります。(悪性貧血)
この2種類の貧血予防に、鉄とビタミンB12を含む鴨肉はおすすめの食材です。
●今日の料理
鴨の治部煮風
?鴨肉は塩としょうが汁で下味をつける。長いもは1cm厚さに切り、中火で5分ほど下ゆでしておく。しめじは小房にわけ、せりは3cm長さに切る。
?鍋にだし汁に酒、みりん、しょうゆ、塩を入れ、しめじと長いもを入れて弱火で5分程度煮る。
?下味をつけた?の鴨肉の水気をふいて片栗粉を薄くつけ、?の鍋に入れる。?のせりも加え、軽く火を通してわさびを溶き入れる。
?器に?を盛り付け、好みでわさびをのせて出来上がり。
ポイント…鴨肉は加熱しすぎないこと。
鴨のソテー・りんごソース
?鴨肉は皮に細かく切れ目を入れる。塩とブラックペッパーで下味をつける。りんごはよく洗って皮のままいちょう切りにする。
?フライパンに皮の面を下にして?の鴨肉を入れ、じっくりと脂を出すように焼く。途中から出てきた脂を肉の上からかけながら皮がかりっとするまで焼く。(弱火で7〜8分) 表面全体に火が通ったらフライパンから肉を取り出し、アルミホイルに包んで余熱で火を通す。(10分ほどおく)
?厚手の鍋にりんごとレモン汁を入れてふたをし、弱火で水分を出すように煮る。(7〜8分) りんごが軟らかくなったら、はちみつ、塩、バターで味を調える。
?鴨肉をうすくスライスし器に盛る。?のりんごソースを添えて出来上がり。
ポイント…鴨は皮の面だけ焼き、ホイルに包んで余熱で火を通す。
原産地は古代ペルシャ、現在のイランといわれ、紀元前7000年も前から食べられていたそうです。日本でも縄文時代からオニグルミなどの在来種が食べられていましたが、戦国時代にペルシャ系のクルミが伝わったそうです。
〜クルミの栄養成分〜
主成分は脂質で、全体の7割近くを占めています。ほかに鉄やカルシウムといったミネラルやビタミンB1、ビタミンEなどのビタミン類も豊富に含まれています。
〜脂質の働き〜
脂質はエネルギー源として使われるだけではなく、細胞膜や血液、ホルモンの構成成分や、ビタミンAなどの脂溶性ビタミンの吸収を円滑にする働きもあります。
特にクルミに含まれる脂質のαーリノレン酸は体内で作ることができない必須脂肪酸で、血中コレステロール値を減少させる働きや血栓を防ぐ働きで生活習慣病予防が期待できます。
●今日の料理
くるみ小女子
?くるみは1〜2cmの大きさに割っておく。小女子はぬるま湯に浸して水切りしておく。
?小鍋に?のくるみを入れ、弱火で乾煎りする。小女子を入れ、軽く水分を飛ばし火を止めて粗熱をとる。
?みりん、酒、砂糖、しょうゆを混ぜ、?の小鍋に入れる。中火で沸騰させ、弱火にして水分を飛ばす。照りがついたらバターを加え混ぜ、火を止めて出来上がり。
ポイント…水分を飛ばし、照りがつくように仕上げる。
くるみ和え風サラダ
?くるみは弱火で4〜5分乾煎りしてすり鉢でつぶす。砂糖、マヨネーズ、塩、こしょう、酢を順に入れてなめらかにする。
?大根、きゅうりは太めのせん切りにし、セロリは斜めうす切りにする。にんじんは細めのせん切りにする。
?ボウルに切った?の野菜を入れ、塩2つまみで塩もみする。5分ほどおき、しんなりしたら水洗いしてしぼる。?のくるみで和えて出来上がり。
ポイント…野菜をきちんとしぼってから和える。
里芋の原産地は東南アジアといわれ、寒さに適応した品種が中国から伝わったようです。縄文時代にはすでに栽培が行われており、山で自生する山芋に対し、里で栽培する芋として里芋と呼ばれるようになりました。
〜里芋の栄養成分〜
里芋の主成分は炭水化物で、ほかに塩分を排出するカリウムや疲労回復のビタミンB群などが含まれています。また、芋類の中では水分が多く、比較的エネルギー量が低いのが特徴です。注目はムチンとガラクタン。
〜ムチン・ガラクタンの働き〜
ムチンとは里芋のぬめり成分の一つで、糖とタンパク質が結合した成分です。その働きは、?胃や腸などの粘膜を保護する。?血中コレステロール値を低下させる。?肝臓や腎臓の細胞を活性化させる。などがあります。
ガラクタンとは多糖類の一種で、その働きは、?血中コレステロール値を低下させる。?脳細胞や神経細胞を活性化させる。?免疫力を高める。などがあります。
※現在では、ムチンは植物には見られない動物性の粘液成分を指すという知見があります。里芋の注目成分について、「ムチンとガラクタン」との記載は、2009年の掲載当初のものです。
●今日の料理
里芋の甘辛煮
?里芋はタワシでよく洗って水からゆでる。沸騰して8〜10分ゆでたら冷水に取り、手で皮をむき、一口大に切る。
?にんじん、ごぼうは小さめの乱切りにする。しいたけは4つに切り、絹さやは筋を取る。牛肉は一口大に切る。
?厚手の鍋に油を温め、?の牛肉、にんじん、ごぼうをしっかり炒める。だし汁を入れてフタをし、5〜6分弱火で蒸し煮する。
??の里芋としいたけを入れ、酒、砂糖、しょうゆ、塩を入れてなじませ、フタをして5〜6分煮る。
?みりんと絹さやを入れ、水分を飛ばしながら照りをつけて出来上がり。
ポイント…にんじんとごぼうに火が通ってから味付けする。
里芋のスパイシー焼き
?里芋はタワシでよく洗って水からゆでる。沸騰して10分程度ゆで、箸がすっと通るくらいで冷水に取り、手で皮をむく。7〜8mm厚さの輪切りにする。
?薄力粉に水を加えてなめらかにし、塩、ブラックペッパー、ガーリックパウダー、粉チーズを混ぜて衣を作る。
?フライパンにオリーブオイルをあたため、?の里芋に?の衣を付けて焼く。(フタをして弱火で3分程度) うら返して2〜3分焼き色をつけて出来上がり。
ポイント…里芋が軟らかくなるまでゆでておく。
世界中の海で獲れるマグロは、本マグロと呼ばれるクロマグロを代表に、キハダマグロ、メバチマグロ、ビンナガマグロなどがあります。その中でも津軽海峡で獲れる大間産のクロマグロは最高級ブランドとしてすっかり定着しています。
〜マグロの栄養成分〜
マグロの赤身とトロでは摂取できる栄養成分が変わってきます。
赤身は良質のタンパク質が多く、ほかに貧血予防の鉄やビタミンB6などが多く含まれます。
一方、トロは脳細胞を活性化させるDHAや血栓予防のIPAといった不飽和脂肪酸やカルシウムの吸収を促進させるビタミンDの摂取が期待できます。
●今日の料理
ネギま煮
?マグロの刺身は、切り落としの場合はそのまま、サクの場合は一口大に切る。長ネギは1本半を3〜4cmのぶつ切りにし、残りは斜め薄切りにする。
?だし汁に酒、しょうゆ、塩を入れ、?のぶつ切りのネギを入れて3〜4分煮る。
?ネギが好みの軟らかさになったら、?のマグロを入れ表面に火が通ったら?の薄切りネギを入れて火を止める。
?器に盛り、好みで一味唐辛子を振るって出来上がり。
ポイント…マグロは余熱を利用して火を通す。
まぐろのサラダカナッペ
?マグロの刺身は2cm角に切ってしょうゆで下味をつける。
?アボカドは2cm角、トマトは皮をむき、種を取って2cm角に切る。玉ねぎとセロリは粗みじんに切る。
?ボウルに?と?の具料を入れ、塩、こしょう、オリーブオイルで味を調える。ラップをして冷やしておく。
?フランスパンを薄く切って、半分に切ったにんにくをパンにこすり、香りをつける。オーブントースターでカリカリに焼く。
?器に冷やした?のサラダを盛り、?のパンとレタスを添えて出来上がり。
ポイント…アボカド、トマトは軟らかすぎないものを選ぶ。
カボチャの原産地は中南米といわれ、日本へは16世紀にポルトガル船によって伝えられました。カボチャという名前は、その当時持ち込まれたものがカンボジア産のカボチャだったため、カンボジアがなまってカボチャになったそうです。
〜カボチャの栄養成分〜
カボチャの主成分は炭水化物で、ほかにカロテンやビタミンE、ビタミンB群、ビタミンCなどのビタミン類が豊富に含まれる食材です。冬至にカボチャを食べると風邪をひかないと言われるゆえんは、この豊富なビタミン.にあるといえます。
〜カロテンの働き〜
緑黄色野菜に多く含まれるβーカロテンは黄色系の色素成分でポリフェノールの一種です。βーカロテンとしては体内で発生した活性酸素を抑制する働きで、生活習慣病予防などが期待できます。
ほかに、βーカロテンは体内に入ると必要な分だけビタミンAに変換され、粘膜や皮膚のうるおいを保ち風邪予防などが期待できます。
●今日の料理
かぼちゃもち
?かぼちゃは種を取り、4〜5cm角に切ってゆでる。(中火で8〜10分) 箸が通るくらい柔らかくなったら湯を切り粗熱をとる。
??のかぼちゃをつぶし、塩と片栗粉を加えてよく混ぜる。パサついてまとまりにくければ、水を大さじ1〜2加える。充分なじんだら10等分して円形に整える。
?フライパンにバターを溶かし?のかぼちゃの両面を焦げ目がつくまで焼く。(弱火で片面3〜4分 *最初はフタをする)
ポイント…かぼちゃの粗熱をとってから片栗粉を加える。
ミニかぼちゃのグラタン
?坊ちゃんかぼちゃはよく洗ってラップでしっかり包み、700Wのレンジで約4分加熱する。そのまま粗熱をとり、横半分に切って種を取る。皮は器にするため、傷つけないようにくり抜く。くり抜いたかぼちゃは別な器にとっておく。
?鶏肉は2cm幅程度に切り、塩とこしょうで下味を付ける。玉ねぎはうす切り、しめじは小房に分ける。
?フライパンにバターを温め、?の鶏肉と玉ねぎを炒め、薄力粉を振り入れて全体を混ぜる。
?薄力粉がなじんだら牛乳を入れてかき混ぜる。とろみがついたら、くり抜いた?のかぼちゃをを加え、塩とこしょうで味を調える。
??のかぼちゃの器に?の具を入れ、粉チーズを振る。200℃のオーブンで10分程度、軽く焦げ目がつくまで焼く。
ポイント…かぼちゃはラップでしっかり包んで加熱する。